先日、建築士の仲間と軽井沢を歩く機会がありました。教会、旧軽井沢の街並み、横川の煉瓦アーチ橋、そして宿。観光地として知られる場所ですが、建築士同士で歩くと、見えてくる景色が少し変わります。
建築士が、建物を見るときに見ているもの
同じ建物を前にしても、自然と出てくる問いがあります。
- なぜ、この形なのか
- なぜ、今も使われ続けているのか
- どんな暮らしや営みを、支えてきたのか
形や納まりそのものより、その建物が「何を支えてきたか」に目が向く。一人で見る観光とは違って、建物の背後にある時間や使われ方まで読もうとする。これは、建築士が日頃から身につけている見方なのだと、歩きながら改めて感じました。

形と営み、どちらから始めても
軽井沢で感じたこの見方は、設計の仕事にもつながっています。ただ、つい「まず暮らしから考えましょう」と言ってしまいがちでした。けれど、何を大切にしたいか、どう思い描くかは、人によってさまざまです。だから、お客様のいろいろな表現を、まず整理することから始めます。
すでに「こんな形にしたい」というイメージをはっきりお持ちの方もいれば、まだ言葉にならない希望を抱えている方もいます。
形が先にある方には、その器の中でどんな時間が流れ、どんな営みが起こるのかを、一緒に想像する機会をつくる。暮らしへの思いが先にある方には、それを受け止める形を一緒に探していく。設計とは、対話を重ねながら、出来上がりの姿を一緒に創っていくプロセスだというのが、今見えている設計の世界です。
長く使われ続ける建物は、見た目の新しさよりも、そこで営まれる時間に無理なく寄り添えているかどうかで決まる——軽井沢の古い建物が今も生きていることが、それを教えてくれます。

一人で抱え込まない、という設計
私は、建築士会の活動にも深めに関わって来ました。地域や分野を越えて、専門家と顔の見える関係を築けることは、この活動の大きな財産です。
設計は、一人ですべてを背負う仕事ではありません。たとえば難易度の高い構造が絡む案件では、信頼できる専門家に直接相談しながら進められる関係が、何より心強いものです。地域を越えて、また地元の中で、そうしたつながりを少しずつ広げてきました。
こうした横のつながりは、巡り巡って、お客様の安心と、無理のない家づくりや施設づくりにつながっていきます。一人の設計者の中だけで完結させないことも、私が大切にしている姿勢のひとつです。
長坂建築設計事務所が大切にしていること
私が設計しているのは、建物の形そのものというより、その器の中で営まれる暮らしや仕事の時間だと思っています。もちろん、周りや地域とのつながりも一緒に考えています。ただ、ご相談いただいた範囲を勝手に越えて、地域そのものまで設計しようとは思いません。あくまで、お客様の事情や都合に寄り添うことを、様々なことと天秤にかけて調整している感じと言えます。
家づくりや改修、施設の計画をお考えの際は、形のイメージがあってもなくても、お話を重ねながら、ちょうどよい形を一緒に見つけていくことも出来ます。形のイメージから出発して、将来の変化を一緒に描き直していくことも出来ます。
※ 建築士会での活動や、設計について普段考えていることは、note にも書いています。もう少し深いところを知っていただけるかもしれません。今回の関連記事はこちら。